人材紹介の契約書は、手数料と返金の条を整えれば済むものではありません。有料職業紹介の許可を持つ前提か、求人広告やスカウトのように許可を要しない形か。その前提しだいで、手数料の名目、成果報酬の発生条件、業務範囲の書き方がすべて変わります。求人企業との人材紹介契約書、返金規定、直接採用への備え、求人サイトやスカウトサービスの規約、求職者の個人情報、キャリアアドバイザーや採用代行との業務委託、採用支援SaaS、外国人材の紹介、業務委託人材の送り込みまで、アトラス行政書士法人が手がけてきた人材ビジネスの契約書・利用規約・プライバシーポリシーの実例と、職業安定法などの条文の一次確認に基づいて、人材紹介・求人サービスを営む事業者と、紹介会社と取引する求人企業が契約書で決めておくべき点を、テーマ別に解説します。

人材紹介・求人サービスを始める方

ノートパソコンと書類が置かれた木の机

許可を持つ前提か、持たない設計かを最初に決める

有料職業紹介、求人サイト、スカウト・送客、委託募集では、必要な許可・届出も、契約書の骨格も違います。前提が決まらないまま書くと、手数料の名目や業務範囲の書き方がすべて揺れます。

許可を持たない設計なら、推薦・日程調整・条件の取次ぎなど「運営者が行わない行為」を業務範囲の条で具体的に並べます。

紹介手数料と返金規定を整えたい方

電卓と書類が置かれた机

手数料表・契約書・公開している説明をそろえる

契約書の手数料は、届け出た手数料表の範囲を超えられません。年収の定義、内定時と入社時の分割、消費税、月額連動型の止め方を、手数料表と同じ言葉で書きます。

返金規定は、返金の対象となる支払部分、自己都合の定義、通知期限と資料、返金の期限を具体的に書き、公開している返戻金制度の説明と一致させます。

求人企業との契約書を作る・見直す方

書類に署名をする手元

紹介の成立・推薦の有効期間・内定取消を条文で決める

「紹介による採用」の基準と推薦の有効期間、直接応募との重複の確認の手続を決めておけば、高額な違約金に頼らずに手数料を請求できます。

内定取消は、時期・金額・通知・免除事由の4点で組みます。業務委託のひな型から流用した条項が残っていないかも確認します。

求人サイト・スカウトを運営する方

クリップボードに挟んだ履歴書とノートパソコン

表示の義務と、求職者の情報の見せ方を規約で決める

求人サイトの運営者には、表示を正確・最新に保つ措置の義務があります。掲載企業規約で、掲載企業の義務と運営者の措置をつなぎます。

スカウト・送客では、求職者用と企業用の規約を分け、見せる項目をプライバシーポリシーとあわせて三つの書類で一字一句そろえます。

アドバイザー・採用代行と組む方

オレンジ色の椅子が並ぶ会議室

業務委託の人に任せる範囲を、条文で切り出す

業務委託のキャリアアドバイザーには、キャリア相談・書類添削・面接対策など職業紹介に当たらない支援を任せ、推薦や条件の交渉は自社で行う切り分けが基本です。

採用代行・採用マーケティングでは、応募者対応を誰が行うか、求人広告の文言の承認、アカウントの名義と返還を決めます。

外国人材の紹介・人材の送り込みをする方

書類とペンが置かれた木の机

在留資格と実費、指揮命令の窓口を契約で決める

外国人材の紹介契約では、業務を在留資格の範囲に限り、在留資格の不許可を内定取消の免除事由に書き、渡航費などの実費の流れを決めます。

インターンや業務委託の人材を企業に送り込む事業では、指示の窓口・評価の主体・人選の権限を送り出す側に置き、実態を契約に合わせます。

このガイドの解説ページ

よくあるご質問

人材紹介の契約書を作りたいのですが、何から決めればよいですか?

最初に、有料職業紹介の許可を持つ前提で作るのか、求人広告・スカウトなど許可を要しない形で作るのかを決めます。この前提で、手数料の名目、成果報酬の発生条件、業務範囲の書き方がすべて変わります。

人材紹介の手数料は、契約書で自由に決められますか?

有料職業紹介事業者は、上限制の範囲か、厚生労働大臣に届け出た手数料表に基づく場合しか手数料を受けられません(職業安定法32条の3第1項)。契約書の手数料は、届け出た手数料表の範囲で定めます。

返金規定は、業界の相場どおりでよいですか?

相場の数字より、返金の対象になる支払部分、自己都合退職の定義、返金しない場合、通知期限と証明の方法を具体的に書くことが紛争の予防になります。返戻金制度は、求人者・求職者への明示とインターネット等での情報提供も必要です。

求人企業と結ぶ契約書と、求職者向けの規約は別に必要ですか?

必要です。求人企業とは手数料・返金・直接採用の扱いを、求職者とはサービスの内容・個人情報の提供先・禁止事項を定めます。求職者には消費者契約法が適用されるため、1本にまとめないことをお勧めします。

求人サイトの運営者は、掲載された求人の内容に責任を負いますか?

掲載企業が作った求人でも、運営者には虚偽・誤解を生じさせる表示をしない義務と、情報を正確・最新に保つための措置を講じる義務があります(職業安定法5条の4)。規約で掲載企業の責任を定めるだけでなく、訂正・掲載停止の手続を整えておきます。

このサイトの解説は一般的な情報です。ご自身の事業に当てはめた確認や、契約書・規約の作成をご希望の方は、運営事務所のご案内をご覧ください(相談無料)。

運営事務所・ご相談のご案内

監修:アトラス行政書士法人(代表社員 荒木素子・特定行政書士) 最終確認日:2026年10月15日